医療保険を考える
海外で年金を受取る場合は、お住まいの市町村へ転出届けをし、
日本年金機構へ「年金の支払を受ける者に関する事項」の届出をします。
この届出をすることで、日本国内では非居住者となり、年金の源泉所得税や
復興特別税、住民税、国民健康保険などを支払う必要が無くなります。
一方で、移住者の中には、この届出をしない方もいます。
しない理由の一つに、万一の場合に備えて国民健康保険に加入しておきたい
という方です。
現地で支払った治療費を帰国後、海外療養費の還付請求が出来るからですが、
それ程簡単ではありません。
理由は、下記の通りです。
1.診療内容明細書・領収明細書とその日本語への翻訳
様式の全てを担当医師に書いて署名して貰う必要がある為、
複数の病院を掛け持ち巡回している医師に書いてもらうことが困難。
2.1年未満の海外渡航者に限る。
申請期限が治療を受けた日から2年間有効でも、毎年1年以内に
帰国し申請しなければならないという条件。
3.薬代の還付請求
医師の処方箋があれば還付請求出来るのに、フィリピンのphilhealth
(健康保険)では薬代は認めてないので、理解してもらえないし、
印字が消え易いレシートを整理し、集計することが大変。
計算が苦手なので領収明細書に合計が書けないか、書いても間違っている。
日本人医師のいるジャパンヘルプデスクへ担当医師に説明して貰うように
相談しても日本人医師やスタッフは、対応してくれない。
4. 介護保険料を強制的に徴収されているのに海外では介護費用が認められない。
5. キャッシュレスで治療できないので、長期入院生活では負担が大きい。
このように世界的に類の無い国民皆保険制度も海外では十分に機能しません。
クレジットカードの民間保険にしても、30日~180日が限度なので、運良く期限内に
適用できるかどうかが問題です。
民間の医療保険も海外では適用されない場合も多く、適用されていれも国保と
同じくらいの手続きが必要。
長期間の海外旅行保険は保険料が高すぎる。
等々の多くの弊害があり、日本国内の保険に頼ることも考えものです。
もう一つの理由としては、口座開設が出来ないので、日本国内の口座を利用
せざるを得ないという方です。
口座開設には、通常パスポート以外に二つ以上のIDが必要になるので、
永住権付きのビザかその他のIDを所持している方でないと困難だからです。
しかし、観光ビザの方でも口座開設できる裏技はあります・・・。
フィリピンにも外国人が加入出来る医療保険もありますが、加入年齢が
60歳位までですし、保険料が割高な割に補填金額が少ないです。
政府のphilhealth(健康保険)は、就労可能なビザを所有し、会社で雇用されていれば、
会社と折半ですので、所得に応じて年間5,000ペソ程度の安価な保険料で済みますが、
会社に所属せずに個人で加入する場合は、リタイアメントビザで年間15,000ペソ、
その他では17,000ペソです。観光ビザの方でもACR-Iカードがあれば加入出来ます。
医療費負担割合も一律ではなく、病気の症状と病院側の判断により異なります。
いずれにせよ、海外で1年以上生活するには、医療費の問題は、
いずれ致命的になりますので、パートナーやお子様も含め、
早めに加入されておくことが賢明です。